一般社団法人日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構 理事長
昭和大学臨床ゲノム研究所 所長/乳腺外科 特任教授 中村 清吾
遺伝性乳癌卵巣癌症候群は、毎年新規に数千人もの患者が発生しているという、遺伝性疾患の中では例外的とも言えるほど極端に頻度の高い疾患です。同時に、原因遺伝子の解析が可能になってきた事と併せ、遺伝診療を組み合わせた早期発見、早期治療、または発症前の対応により、その抑制効果が期待される疾患でもあります。
以上の疾患特性と患者さんの多さから、わが国に於ける遺伝性乳癌卵巣癌症候群に特化した総合診療体制の整備、医療供給が喫緊の課題となっておりました。
そこで、このたび、わが国における遺伝性乳癌卵巣癌症候群の診療体制の整備拡充を図るために、(一社)日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構を日本医学会「遺伝子・健康・社会」検討委員会の助言指導の下、3分科会(日本乳癌学会,日本産科婦人科学会,日本人類遺伝学会)が中心となって設立することになりました。
以下に、遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度の概要をお示しします。
なお、2016年8月に上記社団法人が正式に発足し、今後は関連する各学会と連携を取りながら、日本におけるHBOC診療の充実及び、本領域における保険診療の確立を目指して活動していく所存です。