2016年8月に一般社団法人日本乳癌卵巣癌総合診療制度機構(Japanese Organization of Hereditary Breast and Ovarian Cancer, JOHBOC)が設立されました。これはわが国における遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)の現状を把握し、標準的かつ水準の高い標準化治療の実現を目指し設立されたたものでしたが、その後HBOCの診断や各癌種におけるPARP阻害剤のコンパニオン診断としてBRCA1/2遺伝学的検査が保険収載され、乳房のサーベイランスや乳房・卵巣のリスク低減手術が保険診療として行えるようになるなどHBOC診療を取り巻く環境は大きく前進しています。このような背景から関連腫瘍の診療や遺伝医療に関わるすべての医療関係者は本疾患に対する基本的な知識を身につけておくことが望まれるとともに、それぞれの医療機関においても本疾患に対する診療体制の整備が求められます。