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HBOCと診断された場合,乳がんと卵巣がんの発症リスク(がんのなりやすさ)が高くなると報告されており,その他にも膵がんや男性の乳がん,前立腺がんの発症リスクも高くなると報告されています。
解説
HBOCと診断された場合,特に乳がん,卵巣がん(女性の卵巣,卵管,腹膜にできるがん),前立腺がん,膵がんの発症リスクが一般の方に比べ高くなると報告されています。発症リスクが高くなるがんとそうではないがんがあるのは,遺伝子が働く場所や影響を起こす場所の差によります。HBOCの体質にかかわる遺伝子はBRCA1とBRCA2で,これら2つの遺伝子の影響を受けやすい臓器でがんを発症しやすくなります。
HBOCはあくまでがんを発症しやすい体質であり,HBOCと診断されてもがんにならないこともあります。表のように,どこの臓器にがんが発症しやすくなるということはわかりますが,あくまで確率であり,HBOCであってもがんを生涯発症しない方もいます。どこのがんを何歳で発症するのかといった正確な予測まではできません。
HBOCと診断された方は一般の方よりも表に示した関連がんを若い年齢で発症する傾向にあります。またHBOCと診断された女性の乳がんでおよそ30%の方が両側の乳がんや2回以上の乳がんを経験するといわれています。
また,表にのっているがん以外では,ほくろのがん(悪性黒色腫)や,さらには食道がん,胃がん,胆道がんの発症リスクもHBOCの場合に高まる可能性があると報告されています。これらのサーベイランスなど具体的な対策についてはまだ研究の段階ですが,今後これをきっかけにHBOCの個別化医療がより幅広いかたちで行われると期待されます。