第2章 HBOCと診断されたら知っておきたい【卵巣がん】

Q46

卵巣がんの予防に有効な薬はありますか?

お花の画像
A

 卵巣がんのリスクを低下させる薬として低用量ていようりょうピルを服用することができます。低用量ピルの服用を始める場合には,医療者と十分に話し合ったうえでご検討ください。卵巣がんの予防として健康保険が適用となる薬はありません。

解説

一般的に,低用量ピル(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬はいごうやく,低用量経口避妊薬けいこうひにんやく)を服用することにより,卵巣がんを発症するリスクが低下することが知られています。HBOCと診断された方においても,低用量ピルを服用することにより,卵巣がんが発症するリスクを40~50%程度下げることができると考えられています。
一方で,低用量ピルの服用により,HBOCと診断された方の乳がんにかかるリスクが上がる可能性がある点も指摘されています(ただし,乳がんのリスクは上がらないという報告もあり,今のところ定まった結論はありません)。そのため,乳がんのサーベイランスはしっかりと受けていただくことをお勧めします。なお,現在乳がんを治療中の方については,低用量ピルを服用することはできません。

また,低用量ピルの一般的な副作用として,血栓症けっせんしょうのリスクがあるため,もともと血栓症のリスクをもつ方,喫煙きつえん中の方,50歳以上の方は服用できない場合があります。また初経しょけいがくる前にも服用できません。低用量ピルを服用する場合には,産婦人科での定期的な体調確認をしていただくことをお勧めします。低用量ピルを内服することによる主なメリット,デメリットをで示します。

ただし,実際に卵巣がんのリスクを下げる目的で低用量ピルの服用を検討する場合,どの低用量ピルを使用するのがよいのか,期間はどのくらいか,については明確な研究データはありません。服用期間が長いほうが卵巣がんのリスクを下げる効果が高いという報告もありますが,5年以上の服用で乳がんのリスクが上がる可能性も指摘されています。

また低用量ピルの服用によって,卵巣がんのリスクが下がるとされていますが,卵巣がんのリスクを下げるための最も効果的な方法はリスク低減卵管卵巣摘出術ていげんらんかんらんそうてきしゅつじゅつ(RRSO)であるため,低用量ピルの服用はRRSOに取って代わるものではありません。そのため低用量ピルの服用を始める場合には,その服用によるメリット,デメリット,服用の期間,その間の乳がんに対するサーベイランス,およびRRSOの時期などについて主治医と十分に話し合ったうえでご検討ください。