第2章 HBOCと診断されたら知っておきたい【乳がん】

Q35

リスク低減乳房切除術を受けるべきか,サーベイランスを継続するべきか決められません。

お花の画像
A

 リスク低減乳房切除術ていげんにゅうぼうせつじょじゅつ(RRM)を受けるべきか,サーベイランスを継続するべきかを決めることはとても悩ましいことです。ご自身が納得いくまで医療者らと話し合い,自分の価値観に合う選択をすることが大切です。

解説

1「決める」ための情報が不足している場合

あなたがリスク低減乳房切除術ていげんにゅうぼうせつじょじゅつ(RRM)かサーベイランスのどちらかに決めなければならないときに,必要な情報が十分ではない可能性があります。自分が気になっていることはどのようなささいなことでも医療者に打ち明けたり,相談したりしてください。
以下に記すような事柄は,RRMにするのか,サーベイランスにするのかを決めるときに役立つ視点になります。
各選択肢のメリットとデメリット(Q202128参照)
RRMの方法,乳房再建術にゅうぼうさいけんじゅつの方法,医療にかかる費用(Q28323358参照)
乳房のサーベイランスの方法,検査にかかる費用や時間(Q2831参照)
RRMによる生活や気持ちの変化(Q34参照)

2「迷う気持ち」が強く,どうしても決められない場合

どちらかに決めたい,決めようとしているけれど,「迷い」があって,最終的な決断がどうしてもできない,ということがあります。このような気持ちや状況はとても苦しく,あまり長く続くと体調に影響することもあります。人が「迷う」理由はさまざまですが,次のようなことが「迷い」を解消することにつながります。

1医療者と話し合う

前述1)で挙げた「決める」ための情報が不足していると,いざ決めようとしたときに「迷い」が生じます。医療者と話し合うことで,自分に不足している情報を得ることができます。

2体験者・家族・友人・パートナーなどに相談する

人が「迷う」理由の一つとして,自分がどうしたいのかがわからない,自分の価値観がはっきりしないということがあります。いざ難しい決めごとを前にすると,自分がどうしたいのかわからなくなる,ということは誰にでもあることです。まずは落ち着いて自分が大事にしたいことは何かをじっくりと考えてみる,大切にしたいことの優先順位を書き出して整理する,自分が選ぼうと思っている選択肢を選んだ人の体験談に触れる,ご自身の正直な気持ちを他の人に話してみる,ということが役立ちます。

3決めるためのサポートが不足している場合

RRMを受けたいけれど最終的な決断に至ることができない,サーベイランスにしようと思っているけれど悩ましい,という背景にはサポートが足りないといったことが考えられます。以下のようなことについて試してみるといいかもしれません。

1信頼している人と話し合ってみる

自分の中ではもう決めていることでも,それを周囲の人に打ち明けてみて,助言や意見をもらうことはご自身の自信や納得につながります。医療者やご家族,友人,体験者などに話してみるとよいでしょう。

2あなたの決めたことを支える物理的な支援を探す

RRMを受けたいけれど,入院中の子どもの世話を頼める人がいない,今は仕事を休めない,といったような状況が決めることを難しくしている場合があります。そのようなときはどのような支援があればよいのかをはっきりさせ,現実的にそれが得られるようになる方法や時期について,医療者と一緒に考えていくことができます。