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臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラー®とはどのような方なのですか?

 

臨床遺伝専門医および認定遺伝カウンセラーは遺伝性疾患を専門として皆さんをサポートします。遺伝に関する悩みや心配なこと,気になっていることなどを相談することができます。
一人ひとりお話する内容は異なりますが,これらのご相談が多くあります。

遺伝について気になります。
遺伝子の検査は受けた方がいいですか。
乳がんは遺伝がかかわると聞き,詳しく話が聞きたいです。
遺伝性のがんと診断されましたがどうしたらよいですか。
遺伝性のがんは家族にも影響がありますか。

臨床遺伝専門医および認定遺伝カウンセラーは,日本遺伝カウンセリング学会と日本人類遺伝学会が共同認定する資格です。
臨床遺伝専門医
すべての診療科に対応し,適切な遺伝医療を実行するとともに,各医療機関において発生することが予想される遺伝子に関係した問題の解決を担う医師とされています。内科,外科,小児科,産婦人科,耳鼻科などの基本的領域学会の専門医資格を取得したのち,認定研修施設で臨床遺伝学や遺伝医療を実践し,認定試験に合格する必要があります。2022年5月現在,1,638人が認定されています〔臨床遺伝専門医制度委員会ウェブサイト(http://www.jbmg.jp/)参照〕。
認定遺伝カウンセラー
一人ひとりに合った遺伝に関する説明や心理・社会面も含めて支援を行う専門職です。患者さんやご家族を含む市民と医師を含む医療者のかけ橋となり,意思決定をサポートします。市民に信頼され質の高い遺伝医療を提供できるよう,大学院修士課程相当での教育を基本として遺伝医学の知識レベルでは臨床遺伝専門医と同等の水準を求められています。2022年4月現在,国内には25校の大学院における認定遺伝カウンセラー養成校が存在し,316人が認定されています。認定遺伝カウンセラーは商標登録されており,病院やクリニックなどの医療機関,企業(製薬会社や検査会社),研究・教育機関など,さまざまな場で活躍しています。まだ人数は少ないですが横のつながりが強く,全国の認定遺伝カウンセラー同士が協力して情報交換をすることもあります〔認定遺伝カウンセラー制度委員会ウェブサイト(http://plaza.umin.ac.jp/~GC/)参照〕。

臨床遺伝専門医は,医師として遺伝医療に携わり,遺伝医学的診断を行い,その判断に基づいた適切な情報を伝えます。一方,認定遺伝カウンセラーは,中立的な立場で医学的な話だけではなく,患者さんやご家族の納得のいく選択ができるよう支援を行い,一緒に考えていきます。臨床遺伝専門医および認定遺伝カウンセラーは,遺伝性腫瘍専門医や遺伝看護専門看護師などの他の医療者と連携しながら遺伝医療に携わります。
遺伝カウンセリングには,遺伝や遺伝性の病気について知りたい方,HBOCと診断された,または疑われた方やそのご家族など,年齢や性別は関係なくどなたでも来ていただけます。お一人でも,身近な方と一緒でも,いつでもお気軽にご相談ください。
遺伝医療を受けられる施設は,全国遺伝子医療部門連絡会議のウェブサイト(http://www.idenshiiryoubumon.org/search/)で探すことができます。