第1章 HBOCについて知っておきたい

Q14

遺伝カウンセリングに自分以外の人も一緒に行ってもよいでしょうか?

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A

ご自身が一緒に行きたい,一緒に話を聞きたいと思う方であればどなたでも同席していただけます。遺伝カウンセリングに同席される方の例として,父,母,きょうだい,パートナー,子ども,いとこ,おば,おじ,友人などさまざまな方が同席されています。

解説

主治医や他の医療者から勧められたり,自分で遺伝のことが気になったりと遺伝カウンセリングを受ける経緯はさまざまです。また,一人で聞きたい,誰かと一緒に聞きたいなどの考え方もさまざまです。ですから,ご自身お一人で受けても,誰かと一緒に受けても大丈夫です。同席人数は,施設によって対応が異なるため事前にご確認ください。大切なことは,遺伝カウンセリングを受けるご自身が安心して説明を聞くことができ,必要な意思決定のための相談や共有ができる人や人数であることです。父,母,きょうだい,パートナー,子ども,いとこ,おば,おじ,友人などさまざまな方が同席されています。
すでに,一緒に聞いてもらう人を決めていたり,一人で受けることを決めていたりする方は悩むことはないかもしれません。しかし,医療者に同席を勧められると,必ず誰かと一緒に受けないといけないのか,一人で受けてはいけないのか,誰にしたらいいのかなど悩まれるかもしれません。医療者が同席を勧める理由には以下の点がありますので,同席してもらうかどうか,誰に同席をしてもらうかを決めるときの参考にしてください。

遺伝カウンセリングに限らずがん治療(がん医療)にかかわる話は,ほとんどの方にとって初めて聞くなじみのない言葉や内容が多いと思います。遺伝カウンセリングでは,医療情報だけではなく遺伝に関する情報も加わります。また,遺伝カウンセリングを主治医が担当するとは限らず,遺伝の専門外来など,他科の医師や認定遺伝カウンセラーといった主治医以外の医療者と初めて会う緊張や不安も加わることになります。
さらに,遺伝性のがんの体質があるかどうかを調べることは,ご自身のがん治療や健康管理に役立つ情報だけではなく家族や血縁者にもかかわる情報となることがあります。遺伝性のがんの体質が自分の子どもや孫,親やきょうだいに共有されている可能性があることを知ることは,ご自身にその体質がある,つまり,自分ががんになりやすいことがわかること以上に心的負担(=ストレス)が大きいといわれています。このような背景からご自身が少しでも安心しリラックスして遺伝カウンセリングを受けられるように,どなたか(例えば,キーパーソン:ご自身が信頼し,主に意思決定する場面で相談したり一緒に考えたりする人)が同席されることをお勧めしています。
また,遺伝性のがんの可能性が考えられる場合に遺伝カウンセリングに同席を勧めることがあります。例えば,本人にHBOCの特徴があり,血縁者に20代以上の女性(例えば,娘や姉妹,従姉妹)がいる場合や多遺伝子パネル検査の結果BRCA1/2遺伝子の変化(病的バリアント)がみられた場合などで,血縁者に遺伝カウンセリングの同席を勧めることがあります。それは,BRCA1/2遺伝子に病的バリアントを保持する方では,乳がんでは20歳を,卵巣がんでは30歳あるいは40歳を過ぎた頃から累積罹患るいせきりかんリスクが上がる()ため,HBOCについて,がん罹患リスクや早期発見のための検診や予防についての情報をご自身だけではなく,血縁者で共有し健康管理をすることが大切だからです。

遺伝カウンセリングに,誰かと一緒に行くか一人で行くかはその時々で変わるものだと思います。いずれにしても,医療者や家族などにご自身が迷っていることや悩んでいることをタイムリーに相談できる環境を整えていくことが大切です。