第1章 HBOCについて知っておきたい

Q15

遺伝学的検査や遺伝カウンセリングを家族や血縁者に伝えずに受けることはできますか?

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A

遺伝カウンセリングや遺伝学的検査は,事前に家族や血縁者に受けることを伝えたり了承を得たりしなければ受けられないということはなく,ご自身一人で受けられます。

解説

遺伝学的検査は,がんの発症にかかわらず遺伝性のがんの体質があるかないかを知ることを目的に行う場合や,がんを発症された方ががんの治療薬を選ぶために行う場合があります。遺伝学的検査を受けた場合と受けない場合,どちらにもメリットとデメリットがあり,ご自身が,遺伝カウンセリングで相談したり情報を得たりして自分にとってのメリットとデメリットをしっかり見極め,自分に必要な選択ができることが大切です。

遺伝学的検査の結果によっては,血縁者も同じ遺伝性のがんの体質をもっているかもしれないということがわかります(Q22参照)。また,HBOCと診断された場合には,患側(がんになった側)の乳房の術式(乳房部分切除術にゅうぼうぶぶんせつじょじゅつ乳房全切除術にゅうぼうぜんせつじょじゅつか)の選択や,卵巣や対側乳房のリスク低減手術を受けるかどうかなどについて,考えたり,迷ったり,悩んだりすることもあるかもしれません。そのため,医療者は,家族や血縁者が一緒に受診されることを勧めることもあります。しかし,血縁者が同席していなければ遺伝カウンセリングや遺伝学的検査を受けられないということではなく,お一人でも安心して受けていただけます。

医療情報は新しいものに変わっていきます。また,遺伝や遺伝子については専門性が高く一度の説明ですべての内容を受け止め,理解し,必要なことを選択することは大変なことです。遺伝カウンセリングは,いつでも,誰でも,何度でも受けられますので,情報を得るためや理解するための一助として利用してください。何度か受ける中でご自分が誰かと一緒に遺伝カウンセリングを受けたいと思ったら一緒に受けることも可能です。