第2章 HBOCと診断されたら知っておきたい【乳がん】

Q30

乳房のセルフチェック(自己検診)について教えてください。

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自分の乳房の状態に日頃から関心をもち,乳房を意識して生活をするようにしましょう。乳房の変化や症状,正しいセルフチェック(自己検診)の方法を理解し,定期的な乳房の変化をチェックする習慣をもつことが重要です。

解説

乳がんはさまざまながんの中でも,自分の知識や行動により早期に発見できる可能性のあるがんです。そのためには自分の乳房を意識する生活習慣が大切であるといわれており,一般的に(HBOC以外でも)次の重要な4 つのポイントが挙げられています。

1.自身の乳房の状態を知るために,日頃から自身の乳房を,見て,触って,感じる(乳房の健康チェック)
2.気をつけなければいけない乳房の変化や症状を知る(乳房のしこりや分泌ぶんぴつなど)
3.乳房の変化を自覚したら,すぐに医療機関へ行く
4.40歳になったら定期的に乳がん検診を受診する

このように乳房を意識し,乳がんの早期発見のための行動を含んだ生活習慣のことを「ブレストアウェアネス」と呼んでいます。
乳房の自己検診をする際にはどのような変化や症状に気をつけなくてはならないかを知っておく必要があります。乳がんはしこりとして触ってわかることが多くありますが,この他にも乳頭にゅうとうからの分泌物ぶんぴつぶつの出現や,皮膚ひふや乳頭のきつれ,皮膚の色調の変化など,気をつけるべき変化や症状が知られています(図1)。

乳房の自己検診には「見る」ことによるチェックと「触る」ことによるチェックがあります。「見る」ことによるチェックでは乳房の全体が観察できるように鏡などの前で行うのがよいでしょう。さまざまな角度やポーズによってより観察しやすくなる変化もあることに注意してください(図2-A)。また「触ることによるチェック」でも立った状態でわかりやすい場合と仰向あおむけの状態のほうがわかりやすい場合があることに注意が必要です。乳房全体をくまなく触ってみることや,わきの下に触れるものがないかと気を配ることも忘れないようにしましょう(図2-B)。

乳房の自己検診は,定期的に習慣づけて行うことが最も効果的です。NCCNガイドライン(用語集参照)ではHBOCと診断された方は18歳からブレストアウェアネスの習慣をもつことが勧められています。月経に伴い周期的に乳房の変化が生じる際には,月経後の乳房が軟らかいときに行うと,しこりを見つけやすくなります。妊娠・授乳期には乳房に大きな変化が起こりますが,その際にもしこりがないかなど乳房の状態に気を配る必要があります。また乳房に変化を感じたときに相談できる医療機関を前もって知っておくことも重要です。