解説

1体調の変化

乳房を切除することにより「体調」に変化が起こることは多くありません。人によっては乳房再建術にゅうぼうさいけんじゅつや乳房がなくなることで姿勢に影響が出たり，無意識にかばったりすることで肩こりを感じたり，精神的なショックなどが体調の変化として現れることもあります。

2からだの見た目の変化

乳房を切除することによってからだの「見た目」は変わります。乳房再建術を受けた場合は乳房のふくらみがありますので，洋服選びや着用は手術前とほとんど変わりません。乳房再建術を受けなかった場合は，乳房のふくらみがありませんので，洋服を着たときのシルエットが変化します。手術後は胸元の開いた洋服や水着，着物を着るときには工夫が必要です。乳房のふくらみに対するケアとしては，人工乳房や補正用の下着などで工夫ができます。乳房のふくらみ以外に乳頭や乳輪など，からだの「見た目」はとても重要です。身近な医療者（主治医，形成外科医，乳がん看護認定看護師，看護師など）と手術前から十分に話し合うことが大切です。

3パートナーとの関係性

リスク低減乳房切除術ていげんにゅうぼうせつじょじゅつ（RRM）を考えるときに，パートナーとの関係性は気になります。今，パートナーがいる女性も，これからパートナーと出会う女性も，それぞれに心配があります。パートナーとの関係性が気がかりな女性が最も困っていることの一つが「誰に相談すればよいかわからない」ということです。パートナーとの関係性で気になることがある場合は，話しやすい身近な医療者に相談してください。また，患者会などで体験者に相談することも大きな支えになると思います（Q59参照）。ご自身だけではなく，パートナーも不安を抱えている，という場合もあります。一人で，あるいは二人だけで悩みを抱え込まないことが大切です。

4妊娠・出産

RRMが妊娠や出産に影響することはありません。しかし，乳房を切除した場合は出産した後も乳汁が分泌しませんので，母乳育児はできません。

5スポーツや趣味への影響

RRMを受けた後，乳房の状態が安定するまでは避けたほうがよい動きがあります。ただし，ほとんどの場合は数カ月以内でどのような動きをしてもよい状態になります。ゴルフや水泳，テニスやマラソンなど，いずれのスポーツも数カ月以内にはこれまでどおり再開できることが多いです。術後の状態や体調にもよりますので，詳しくは主治医とよく相談してください。また，前述2）とも関連しますが水着やスポーツウェアなど，着る物への影響がスポーツや趣味に影響する場合もあるでしょう。最近では乳房の手術を受けた女性用の水着も販売されており，手術後もスポーツや趣味を楽しむことができます。