BRCA1/2遺伝学的検査は,ご自身やご家族のがんの種類などからHBOCが心配となり,遺伝学的検査や遺伝カウンセリングを実施している施設(Q12参照)で遺伝カウンセリングを受けたうえで,自らの意思で受けたいと思ったら誰でもいつでも受けることは可能です。
解説
BRCA1/2遺伝学的検査はHBOCの可能性が考えられる方に考慮されますが(以下参照),HBOCの疑いが強くなくても検査を受けることは可能です。推奨される時期は遺伝カウンセリングを受けたうえで,遺伝学的検査とHBOCに対する十分な理解ができ,かつHBOCのサーベイランス(Q21参照)が考慮される時期以降となります。また,遺伝学的検査の結果ががんの治療方針を検討するうえでの参考となる場合があり,主治医から遺伝カウンセリングや遺伝学的検査を勧められる場合があります。
BRCA1/2遺伝学的検査には健康保険が適用となる場合とならない場合があります(保険適用一覧参照)。
1BRCA1/2 遺伝学的検査が考慮される方
(1)45歳以下で乳がんになった女性
(2)60歳以下でトリプルネガティブ乳がんになった女性
(3)2カ所以上の乳がんになった女性
(4)ご自身が乳がんと診断され,第3度近親者までの血縁者に乳がんまたは卵巣がんになった方がいる女性
(5)男性乳がんの方
(6)卵巣がん・卵管がん・腹膜がんと診断された方
(7)家系内ですでにHBOCと診断された方がいる方
2BRCA1/2 遺伝学的検査が推奨される時期
(1)遺伝カウンセリングを受けたうえで,HBOCの病態や遺伝学的検査の意味についてご自身がしっかりと理解できていれば,いつでも受けることができます。遅くとも家系内で最も若くがんと診断された年齢に達するまでに,もしくはリスク低減手術(Q20参照)が推奨される35~40歳までには考慮されるとよいでしょう。高齢であっても,ご自身やご家族のがんのリスクを知り,健康を維持する目的で遺伝学的検査を行うメリットはあります。また,ご自身がHBOCと診断され,お子さんが小さい場合には,子どもにいつ検査をしたらいいのだろうかと悩むことがあるかもしれません。HBOCの場合,がんを発症する年齢は基本的には成人以降であることから,未成年での検査を積極的に考える必要はありませんが,検査の時期については遺伝カウンセリングで相談して個別に決めるとよいでしょう。お子さんへの対応についてはQ24をご参照ください。
(2)乳がんと診断され主治医から遺伝学的検査を勧められた場合,検査の結果で乳がんの手術の方法(乳房を部分的に切除するかすべて切除するか)や,リスク低減手術(Q32,41参照)を同時に行うことが検討される場合もあり,手術の前に検査の結果がわかっておいたほうがよいこともあります。検査の時期は主治医と遺伝の専門家と相談しましょう。